2012年8月23日木曜日

労働契約法が改正されました。

5年を超えて働いた契約社員などの雇用期間に限りのある人が希望するときは、雇用者は
期限のない雇用契約に切り替えなければならないことなどを内容とする労働契約法の改正
案が、8月3日に可決、成立しました。
この改正労働契約法は、公布の日(平成24年8月10日)から起算して1年以内の政令で定め
る日に施行されます。(下記概要の2.雇止の法理の制定法化は公布の日から施行されます)。

<労働契約法一部を改正する法律の概要>
1.有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換・・・有期労働契約が5年を超えて
反復継続された場合は労働者の申込みにより無期労働契約に転換させる仕組みを導入する
もの。ただし、6か月以上の空白期間があるときは前の契約期間を通算しないものとされます。

2.有期労働契約の更新(雇止め法理(判例法理)の法定・・・有期労働契約の反復更新によ
り無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合や有期労働契約の期間満了
後の雇用継続につき合理的期待が認められる場合には、雇止めが客観的に合理的な理由を
欠き社会通念上相当であると認められないときは有期労働契約が更新されたものとみなす。

3.期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止・・・有期労働契約の労働条件が
期間の定めがあることにより期間労働契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は
職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して不合理と認められるものであってはならない
ものとする。

働く人の5人に1人は契約社員などの期間の定めがある雇用と言われます。今後は、5年以
上働き続けた有期契約雇用者が突然雇止めをされる不安はなくなりますが、雇用者側が期間
について慎重になる可能性もあります。双方にとって適正に運用されるよう見守る必要があり
ます。


------------------------------------------------------------------------------

わかば法律事務所 http://www.ovlo-law.jp/
港区西新橋 東京都港区西新橋 1-21-8 弁護士ビル 611 TEL:03-5521-1566

2012年8月1日水曜日

労働審判申立件数の増加

労働審判制度は、個別労働関係紛争の解決方法として、それまで時間のかかる通常
の民事訴訟を利用するしかなかったことから、紛争の実情に応じた迅速柔軟な紛争
解決制度として、平成18年4月1日に導入された制度です。
平成23年は、申立件数が3,588件と過去最高になりました。
背景には、長引く不況による解雇、賃金引下げ等の労使トラブルの増加があります。
また、審判は3回以内の期日で行われ、労使双方が合意すれば民事裁判上の和解と
同様の効力が生じるため、通常の民事訴訟と比較し申立者にとって時間的・費用的
なメリットが多いことも要因と考えられます。
詳細については法律相談にお越しください。労使ともに相談をお受けしています。

【申立件数】  
  平成21年    3,468件
  平成22年    3,375件
  平成23年    3,588件  
 平成24年(1月~3月) 856件

【種類別】  (平成23年)
  非金銭請求    1,814件 
  金銭請求 賃金等 1,179件
       退職金   162件
       その他 431件
【代理人選任状況】
  平成20年~平成24年3月の全国労働審判事件1万3011件について
  申立人の内1万0793件(83%)が弁護士を代理人に選任。
  特に、申立人・相手双方に弁護士がついたケースでは、調停成立の割合が
    75.4%と高いです。