2017年6月1日木曜日

120年ぶり民法改正、公布から3年以内に施行されます

債権や契約に関する分野など、インターネットの普及や高齢化などにより
現状に合わなくなっている点が見直されています。
消費者保護にポイントがおかれた改正になっています。

公布から3年以内に施行されるため、時間的な余裕はありますが、先ずは
改正の概要を理解して、今から準備をしておくべきかと思います。
特に、事業を行っている方には、大きな影響が及ぶと思われる改正点もあ
りますので、ご留意くだささい。

主な改正点です。
(約款)
約款に基づいて契約することをあらかじめ表示したり、契約者と合意したり
していれば、内容を理解していなくても有効だと明記されました。同時に、
消費者に一方的に不利な内容は無効とすることが明記されました。
現在でも、例えばインターネットショッピングをする際には約款に同意しな
いと、購買ができない仕組みになっており、現状を追認しながら、消費者保
護につなげるものです。
   

(保証人)
中小企業が、融資を受ける際の連帯保証人に公証人が直接、「連帯保証」を
する意思を確認することが義務付けられました。(融資を受けた企業の経営者
や、議決権の過半数を持つ大株主などである場合を除く)
これが、本来あるべき形かと思いますが、一方で中小企業が連帯保証人が見
つけられず、融資を受けられなくなることが予想されますので、何らかの制
度的なものが必要かと思います。

(敷金)
畳の擦り切れや、壁紙の日焼けといった経年変化、通常な生活に必要な傷に
ついては、借り主に回復の義務がないことが明記されました。どれが、経年
劣化か、通常な生活に必要な傷とされるのかなど難しい問題がありますが、
借主が予想外の現状回復費を請求されことは減ると思います。一方で、賃貸
オーナーにとっては、今までは請求できていたものが施行後は請求できなく
なることも、予想されますので、相続対策で、アパートの建設計画のあるよ
うな方は、これを踏まえた損益見通しが必要になります。

(認知症のある方との契約)
認知症などで判断能力が乏しい人が結んだ契約を無効とする項目も新設されま
す。今でも、認知症などにより判断力の乏しい方との契約は無効とされてきま
したが、今回の改正により、明確になりました。

上記以外にも、改正される点がありますので、また別な機会に書くつもりです。   

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弁護士 面川 典子(おもかわのりこ)  http://www.ovlo-law.jp