昨年4月施行の民法改正により、父又は母との面会及びその他交流(面会交流)について、
明文化され、 旧来と比較し子どもの利益が優先して考慮される環境が整備されつつあります。
しかし、 現実には離婚などの際に、 子どもと離れて暮らす親(非監護親)と子どもとの面会交
流の取り決めをしたにもかかわらず、子を監護している親(監護親)が、約束を守らないことも
あります。
その場合、裁判所は、面会交流することを許さなければならないと命ずるとともに、 相手方に
対し、その義務を履行しないときは一定の金銭を支払うことを命ずる決定ができるとの初判断
をしました。
最高裁平成25年3月28日第一小法廷決定は、監護親に対して非監護親が子と面会交流す
ることを許さなければならないと命ずる審判において、 面会交流の日時又は頻度、各回の面
会交流時間の長さ、 子の引き渡し方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給
付の特定に欠けるところがないと言える場合は、 上記審判に基づき監護親に対し間接強制
決定することができると解するのが相当であるとしました。
これは、調停調書又は審判が面会交流を定めるに際して、「 面会交流の日時又は頻度、 各
回の面会交流時間の長さ、子の引き渡しの方法等が具体的に定められているなどの監護親
がすべき給付の特定に欠けるところがないと言えるとき 」には、間接強制が許されるというも
のです。
一方で、「 頻度や時間は決められているが、子どもの引き渡し方法について定められていな
い 」などとして、いずれも間接強制を認めなかった高松、仙台高裁の判断は正当と結論づけ
られています。
当然、子の利益が最優先ですが、調停などでの面会交流の取り決めの際には、日時( 又は
頻度 )、時間と場所、引き渡し方法まで、特定する必要があるということになると思われます。
前記のような具体的方法についても、しっかりと話し合いをすることが必要です。
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弁護士 面川 典子(おもかわのりこ) http://www.ovlo-law.jp